バイクのタイヤ空気圧をどれくらいの周期でチェックしてますか?
タイヤの空気は徐々に減っていくので、変化に気付きにくいものです。気が付けば、3ヶ月以上空気圧を測って無かったりします。
また、空気圧を上げると燃費が良くなる。逆に空気圧を下げるとグリップが良くなると言いますが実際のところどうなのか、気になります。

バイクのタイヤ空気圧は、どう管理すれば良いの?
そもそも、空気圧が変わると何が変わるの?
そんな、バイクのタイヤ空気圧に関する疑問を解消します。
- 空気圧の設定値と測定間隔
- 空気圧を下げてもグリップが変わらない訳
- 空気圧を上げると何が起きるか
タイヤの空気圧にはイメージから来るデマが多いので、騙されないようにしよう。
バイクの適正値と測定間隔
独立行政法人国民生活センターがタイヤ空気圧の実験を行ったレポートを公開してます。
車のタイヤの試験ですが、車もバイクもタイヤの特性は変わりません。
このデータの中に、以下の結果があります。
- 空気圧が30%減っても、外観では解らない
- 空気圧低い状態(-20%)での走行でタイヤが偏摩耗する
また、タイヤの空気圧は何もしなくても1か月に約5~10%(初期値2.0kgf/cm2であれば0.1~0.2kg/cm2)は低下します。

タイヤ空気圧は規定値±10%に収めるのが無難だが、見た目では解りません。
そこで10%空気圧が減るのに最短1ヶ月なので、1ヵ月に1回計器チェックすれば10%以内に収められる事になります。
タイヤ空気圧を月一でチェックすれば、適正値を外れない。
タイヤ空気圧の適正値はいくつか
では、空気圧を幾つに設定すればいいのでしょうか。
体重50kgの人と80kgの人では、適正値が違うのでしょうか?
バイクのマニュアルや、スイングアームのシールにはタイヤ空気圧の指定値が記載されてます。
例えば、PCXのユーザーマニュアルにはこう記載されてます。
前/後 | 空気圧(kgf/cm2) | |
指定タイヤ | 前後 | MICHELI CITY Grip |
1名乗車 | 前輪 | 2.00 |
後輪 | 2.25 | |
2名乗車 | 前輪 | 2.00 |
後輪 | 2.25 |
1名乗車と2名乗車で、全く同じ空気圧指定値です。
タイヤの銘柄が『MICHELI CITY Grip』の場合は、この空気圧が適正値、と読めます。違う銘柄にタイヤ交換したらどうなるか気になります。
⇒違う銘柄のタイヤでもタイヤ空気圧の適正値は変わりません。
逆に、同じタイヤを使っていても、バイクが変わると空気圧の適正値は変わってきます。
これは、適正空気圧はタイヤに掛かる荷重で決まるから!
同じタイヤでも重いバイクは適正空気圧が高くなります。
逆に違うタイヤでも、バイクの重量が同じなら適正空気圧は同じになります。(タイヤの加重指数が同じ場合)
タイヤには最大空気圧の表示が有ります。
これは絶対最大定格なので、実使用ではここまで空気圧を高めません。この範囲内でバイクの重量に合った適正空気圧で使用しよう。
一般に空気圧設定に1名乗車と2名乗車の2種類指定があるのは少数派です。小排気量車の一部にしか有りません。
大型車は車両自体の重量が重くなるので乗車人数の影響が小さくなります。また、高性能タイヤで剛性が上がるため、1名でも2名乗車でも同じ値です。
小排気量車で2名乗車時の値が違う場合、前輪の指定空気圧は同じで後輪空気圧が10%程度高くなる事が多くなってます。
PCXは小排気量なので2名乗車の欄を作ったけれど、タイヤの設計が新しいためか2名でも同じ設定値で良かったのでしょう。
道路交通法では、55kg/1名です。
1名乗車でも2名乗車でも同じ空気圧設定値という事は、55kg×2の110kg程度の体重ではマニュアル指定値から空気圧を変える必要ない、と言えます。
- タイヤの空気圧は、月に1回はチェック
- 空気圧の適正値は、バイクのマニュアル通りでOK!
- ただし、体重が110Kg以上の人は高めがイイかも

空気圧を下げてもグリップ が変わらない訳
摩擦力は、摩擦係数、荷重、重力で決まります。
F= μmg
タイヤの空気圧は、摩擦係数・荷重・重力に影響しません。よって、空気圧を下げてもグリップは変わりません。摩擦係数に関係しそうですが、物性は材料で決まり、空気圧には無関係です。
タイヤのグリップ限界付近では影響があるという見解も有りますが、
公道でそんな走りをするバカは居ないので関係ありません
下図は、空気圧と制動距離の実験結果です。
適正空気圧と比べると、空気圧を上げても下げても制動距離は伸びています。
これは、適正空気圧(適正荷重)が掛かっていないと、タイヤの設計性能が生かせないため。
設計されたグリップ力を発揮するには、メーカ指定空気圧がベスト!。

オンロードでの話です。
オフロードでは、空気圧を下げるとグリップが上がり制動距離は縮まります。
これは、空気圧を下げた事でタイヤが変形しやすくなるからです。
オフロードの凸凹にあわせてタイヤが変形することで接地が良くなりグリップが増します。
オンロードは平らな路面ですので、当てはまりません。
空気圧を下げるとグリップが良くなる
しかし、経験的にはタイヤ空気圧を下げると、グリップが良くなります。
これは何故でしょうか?
タイヤ空気圧を下げると何が起きるかに着目すれば理解できます。
空気圧を下げるとタイヤの変形が大きくなります。
コーナリングで荷重がかかるとタイヤが変形し易くなります。
適正空気圧の場合より変形量が大きくなるので、ライダーは変形を感じやすくなります。
勘違い①
空気圧を下げると変形量が大きくなるので解り易い
⇒解りやすいので攻めやすくなる!
『変形量=グリップ 』 という勘違いにより
『 より変形している=よりグリップしている』に変換されるのです。
また、空気圧を下げてタイヤが変形し易くなると転がり抵抗は増えます。
同じ速度でコーナリングしても、転がり抵抗が大きい分アクセルを開かないと失速します。
勘違い②
『アクセルを多く開けられる = よりグリップしている』
とここでも勘違いが起きます。
この2つの勘違いにより、空気圧が低いとグリップが良くなった気になります。
バイクは感情の乗り物なので、勘違いでも気持ち良ければ空気圧を落すのはアリです。
ただし、5%程度にしておこう。
20%空気圧が低くなるとタイヤが片摩耗します。1ヶ月で10%空気圧が減る事と併せると、5%が限度です。
毎日空気圧を測る人は、5%以上もっと攻めても良いかもしれません。
- タイヤの空気圧を下げてもグリップは変わらない
- 公道では、マニュアル記載の適正空気圧に設定する
- 気分だけで良いなら、5%程度は下げてもOK

空気圧を上げると何が起きるか
では、逆に空気圧を適正値より上げると何が起きるのでしょうか。
空気圧が高いとタイヤが変形しずらくなります。
メリット/デメリット両面の影響が有ります。
デメリット
- タイヤのサスペンション効果が薄れるので乗り心地が悪くなる
- タイヤの中央が膨らむので、中央ばかり摩耗する
- 転がり抵抗が減るので ブレーキの利きが悪くなる

メリット
- ハンドルを切った瞬間のタイヤ変形が小さくなるので、レスポンスが良くなる
- 転がり抵抗が減るので、燃費が良くなる
昔は高速道路を走る時はタイヤの空気圧を上げるのが常識でした。
自動車学校でもそう教え、誰もが高速に入る前にガソリンスタンドで空気圧を上げていました。
しかし、今時は高速道路でも空気圧を上げる必要は有りません。
昔は、タイヤの真円度が低く、バランスが悪かったため高速回転で波打つ『スタンディングウェーブ現象 』が起きてバーストする可能性がありました。
そのため、バーストするくらいなら多少性能は落ちても空気圧を高めた方が安全、という割り切りでした。
最近のタイヤは精度が良いので、高速道路でも空気圧を高める必要は有りません。
バイクは感情の乗り物なので、メリットが勝つと考えるなら5%程度高めにするのはアリです。
けれど、本当はタイヤの設計性能を生かす適正空気圧が良い。
- タイヤの空気圧を上げるとバイクがシャキッとして燃費が良くなる
- ブレーキの効きは悪くなるので上げても5%程度にしてほどほどに
- 高速道路でも、空気圧を高める必要なし
空気圧のチェック方法
ガソリンスタンドでチェック
バイクタイヤのバルブは米式で車と同じタイプです。
一般自転車の英式、スポーツ自転車の仏式とは違います。
車と同じ米式なのでガソリンスタンドの空気入れが適合しますが、実際には使えません。
ガソリンスタンドの空気入れはストレート形状でバイク用には出来ていないからです。
空気入れのノズルをバルブの真上に持ってこようとしてもホイールが干渉してセット出来ません。バイクのバルブがホイールに対しオフセットしていないためです。車はオフセットしています。
そのため、ガソリンスタンドでバイクに空気圧をいれるためにはバルブに付けてオフセットさせる小道具が必要です。
安くて小さなパーツなので、常備しておくと助かります。

自宅でチェック
米式空気入れを持っていれば、自宅で空気圧管理が可能です。
空気圧の測定は、タイヤが冷えている状態がベストです。
走るとタイヤが温まり空気圧が上がってしまうからです。マニュアル指定の空気圧は冷えている状態の値です。
バイクの空気圧は2kg程度なので、自転車用の空気入れで楽勝です。
ただし、空気入れに付属の空気圧計は±10%程度のアバウトな精度なので、別途空気圧計を持ってると安心です。
TPMS
車にはTPMSという空気圧リアルタイム監視システムが有ります。
最近はバイク用のTPMSが出て来ました。
タイヤのエアバルブキャップと付け替えるだけで、空気圧をリアルタイムに監視することが出来ます。
何とか手が出る価格帯です。
TPMS:Tire Pressure Monitoring System(タイヤ空気圧モニタシステム)
まとめ
バイクに乗り始めの頃は、タイヤの空気圧は入っていれば良いくらいで、気にしないと思います。
しかし、バイクにのめり込むと、空気圧を増やしたり減らしたりして、乗り心地、操縦性、グリップ感が変わるのを楽しむようになります。
空気圧変更は、お金が掛からないカスタムなので、気軽に出来て楽しい。
色々やってみても、結局はメーカマニュアルの推奨値に帰還するが、面白い。
一方、空気を入れるのに飽き足らず、窒素ガスを入れるという、深みに入るのもアリです。
窒素は空気が抜けにくいので空気圧管理が楽になるとか、
酸素が少なくなるのでサビが発生しにくいとか言います。
実証データ見た事が有りません。自分で実証してみてはいかがでしょうか。
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