初めてバイクのエンジンオイルを自分で交換したときに、
なんだかバイク好きがレベルアップした気がしたはず。
テッテテ~!
けれど、ドレインボルトが走っている時に緩んだら大変なので、
親の仇のように締めなかった?

トルク管理って
なんだか難しそうで解らない!
そんな疑問を解消します。
ベテランはもちろんだけれど、初心者こそトルク管理が必要。
思い切り、ドレインボルトを締めて何も起きなかった幸運に感謝しよう。
トルク管理は正しいトルクレンチを正しく使えば難しくない。
トルクレンチの選び方、使い方を紹介します。
使う頻度が高いので、買って損の無いツールです。
トルクレンチでトルク管理する理由
自分がどれくらいのトルクでボルトを締めているか解りますか?
トルクレンチがあれば、簡単に希望のトルクでボルトを締められる。
締める力は、Nm(ニュートンメートル)の単位で表します。
1Nmは、1mのレンチの端に
1kgの物体に1m/s2の加速度を生じさせる力を掛けた時のトルク
解ったようなよう解らない単位だけれど、気にしなくてOK。
ボルトを締めるときの適正トルクは、各バイクのメンテナンスマニュアルに記載されている。
一般的な締め付けトルクの適正値は、これくらい。
- 点火プラグ 20Nm
- エンジンオイルドレインボルト 20Nm
- ブレーキキャリバー 40Nm
- フロント・リアアクスル 90Nm
バイクによって多少前後します。
トルク不足
走行中の振動でボルトが緩んできて、最悪脱落してしまう。
たとえば、エンジンオイルドレインボルトなら、走行中にオイルをぶちまけてしまう。
気付かずに走っているとエンジンを壊します。
当然、バイクは走れなくなる。
道路にオイルをまき散らすと他の車がスリップする危険もある。
トルク不足はボルトが緩んでくるのでとても危険です。
トルク過多
ボルトが緩んでは大変だと、思いっきり親の仇のように締めあげたらどうなるか?
オイルドレインボルト、ブレーキキャリバーボルトなど、アルミにネジ穴を切ったところにボルトをしめる場合は、特に危険。
アルミは柔らかい金属です。
思いっきりボルトを締めていると急に手ごたえが無くなり、
ヌルっとした手ごたえに変わり、血の気が引く!
そう、ねじ穴を舐めてしまう。
だれもが、一度は経験して忘れられなくなるあの感触です。
ねじ穴を舐めてしまうと、修復が大変。
最悪は、修復不能で廃車になってしまうこともある。
人の感覚は当てにならない
いくらベテランといえども、人の感覚は当てになりません。
手の感覚だけで締めると、大抵は締め過ぎです。
適当に締めたボルトが緩めば事故になるし、締め過ぎてナメると修復が大変。

トルクレンチの種類と使い方
おすすめのトルクレンジ
バイクに使われるボルトのトルク値は、これくらいなので、
- 点火プラグ 20Nm
- エンジンオイルドレインボルト 20Nm
- ブレーキキャリバー 40Nm
- フロント・リアアクスル 90Nm
初めてのトルクレンチは、20Nm~100Nmくらいがおすすめ。
小さなボルトなど、20Nm以下のトルク管理は出来ませんが、小さいボルトはさほど重要なボルトでは無いので、そこそこでも大丈夫。
気になるなら、2本目のトルクレンチとして、20Nm以下の小型トルクレンチを考えよう。
おすすめの差し込み角
ソケットレンチには、差し角のサイズ規格があります。
ソケットの後ろの四角いところのサイズです。

- 4分の1inch(6.3mm) : 3~14mmのソケットに対応
- 8分の3inch(9.5mm) : 5~27mmのソケットに対応
- 2分の1inch(12.7mm) : 6~46mmのソケットに対応
当然、サイズが大きい方が、大きなソケットを扱えます。
バイクメンテには、9.5mmの差し込み角がおすすめです。
バイクに使われているほとんどのボルトに対応する。
デジタルとアナログトルクレンチ
トルクレンチには、デジタル型とアナログ型があります。
アナログ型
トルクレンチについているダイアル目盛りを回して、規定トルクを設定します。
プリセット型とも言います。
設定後に実際にトルクを掛けていくと、規定トルクになると『カチッ』とトルクレンチの音が鳴り、頭が曲がる感触がする。
音と感触で規定のトルクになったことを教えてくれます。
一度、トルクレンチで締めたボルトを、
念のためともう一度トルクレンチで回すのはNGです。
2度目は、規定トルク以上のトルクがかかってしまう。
トルクレンチは、一度だけ!
デジタル型
トルクレンチに液晶画面が付いていて、締めたいトルク値を画面に設定するタイプです。
設定後、トルクを掛けていき規定トルクになると、ブザーで教えてくれる。
リアルタイムのトルク値も見ることができるなど多機能です。
当然、デジタル型の方が扱い易い。
けれど、価格は高く、扱いがデリケート。
財力と好みで、どちらを使うか決めよう。

おすすめのトルクレンチはこの1選+2
バイクメンテに使い易いトルクレンチはこれ。
KTC プレセット型 トルクレンチ 9.5mm 20~100Nm
Made in JAPAN
日本が誇るKTCの工具は精度・使い勝手ともに一流品です。
国内シェアNo.1の工具メーカー。
値段は張りますが、一生ものです。
工具ほど『安物買いのなんとか』が当てはまるものも無い。
折角のトルクレンチなのに、設定トルクが怪しいと話にならない。
KTCを強くすすめます。
KTC デジタルトルクレンチ デジラチェ 9.5mm 17~85Nm
KTCのデジタル型です。
17~85Nmとアナログ型にくらべて設定レンジは狭いが
デジタル好きならこれ。
精密機械なので、プリセット型より扱いはデリケートにする必要がある。
KTC デジタルトルクレンチ デジラチ 9.5mm 6~30mm
小ねじ用の2台目トルクレンチを導入するなら、これ。
- 1台目:20~100Nm
- 2台目:6~30Nm
死角が無い。
トルクレンチでトルク管理するのは難しくない! まとめ
ベテランのバイク好きほど手の感覚にたよらずトルクレンチを使う。
トルク管理の重要性を知っているからです。
KTCのトルクレンチは値段が張るけれど、5,000円以下の怪しいトルクレンチを使うくらいなら奮発したい。
おすすめのトルクレンチはこの1選。
20~100Nmを網羅なので、これ一本で事足りる。
ボルトの頭をねじ切ってしまい途方に暮れる前に考えよう。