- バイクの取り回しが重くなった
- ディスクブレーキからキーキー異音がする
- 急にバイクの燃費が悪くなった
- ブレーキのピストンが同時に出てこない
どうすればいいのだろう?
![](https://pcxgo.com/wp-content/themes/cocoon-master/images/man.png)
知ってるよ!
ブレーキの揉み出しすれば良いんだよね!
そんな誤解を解消します。
揉みだしメリット:
- ピストンの動きがスムースになる
- 複数ピストンが同時に出てくる
- ブレーキフィーリングが良くなった気がする
揉みだしデメリット
- ピストンが戻りづらくなる
- ブレーキの引きずりを誘発する
メリット<<<<デメリットなので、揉みだしはお勧めできない
素直にブレーキのオーバーホール!
こんな内容を知って、スッキリしよう。
揉み出しデメリットのほうが大きいのでやめたほうが良い。
これを読んだ上でなお、ピストンが同時に出てこないのが許せないなら
あなたのバイクだから、あなたが決めればいい。
ディスクブレーキのしくみ
![ブレーキが解放される](https://pcxgo.com/wp-content/uploads/2020/05/Disc-brake-4_R.jpg)
ディスクブレーキの構造を知れば、なぜ揉み出しに意味がないのか、理由がわかります。
- ブレーキレバーを握ったときの動作
- ブレーキレバーを放したときの動作
それぞれ、どう動いてるのか見てみよう。
ブレーキレバーを握ったときの、ディスクブレーキ動作
![ディスクブレーキで止まれる](https://pcxgo.com/wp-content/uploads/2020/05/DISK-BREAK_2R.jpg)
油圧ディスクブレーキのレバーを握ると
- ブレーキフルードに圧が掛かる
- ブレーキキャリパーのピストンに圧が伝わる
- ピストンが押し出される
- ブレーキパッドがローターに押し当てられる
- パッドとローターの摩擦でバイクが止まる
ここまではOKですよね。
パスカルの原理ってやつです。
実際、どう動いてるのかは、
片押し
![](https://pcxgo.com/wp-content/uploads/2023/01/floating.gif)
可動部は片側のみだけど、キャリバーが動いてディスクを両側から挟み込む。
この構造を考えて人は、偉い!
キャリバーが動く分、ブレーキタッチが悪くなるのは仕方ない。
両押し
![](https://pcxgo.com/wp-content/uploads/2023/01/opposed.gif)
両側からピストンが出てくるタイプ。
可動部が増えるのでコストは掛かるけど
ブレーキタッチはダイレクトですね。
ピストンがローターの両側にあって、両側から押すのが「対向キャリパー」。
反対側が壁でピストンが片方にしか無いのが「片押しキャリパー」
「片押しキャリパー」は安物に思われがちだけど、制動力は同じです
何が違うかと言うと、「フィーリング」です
詳しくは、ココ
ブレーキレバーを放したときの、ディスクブレーキ動作
![レバーを放す](https://pcxgo.com/wp-content/uploads/2020/05/DISK-BREAK_3R.jpg)
なぜブレーキレバーを放すと、ピストンが戻るのか?
なぜ、ブレーキが解放されるのでしょうか
実はオイルシールの復元力に頼ってる
実は、ブレーキを掛けたときにピストンはオイルシールが変形することで動いてます。
- ピストンはオイルシールでガッチリ保持されてる
- フルードに圧が掛かって、ピストンが押される
- オイルシールが変形して、無理やり動かされる
ブレーキレバーを放すと
- フルードの圧が無くなる
- 変形していたオイルシールが元にもどろうとする
- ピストンとオイルシールに摩擦がある
- ピストンがオイルシールの摩擦で元の位置に引っ張られる
- ローターからパッドが離れる
たわんだオイルシールが元に戻ろうとして
オイルシールとの摩擦でピストンはローターから離れます
バネが有るわけでも、ワイヤーで引き戻してる訳でもない。
たわんだオイルシールが元に戻ろうとしてピストンを引っ張るだけ。
自分のバイクの価値を知るには
まだブレーキキャリバーのピストンを揉み出ししてるの?
![ディスクブレーキの揉み出しが、おすすめでない理由](https://pcxgo.com/wp-content/uploads/2021/01/disk_R-1.jpg)
ディスクブレーキの原理が解れば
なぜ、揉み出しに意味が無いのかは解るよね?
ディスクブレーキの揉み出しは、
- ブレーキキャリパーを外して
- ピストンに、メタルラパーとかシリコングリスを塗って
- ピストンを出したり入れたり回したり
何のために揉み出しをしているのでしょうか?
揉み出しをすると、ピストンが均等に出てくるからですよね?
では、均等に出てくると何が嬉しいのでしょうか?
ディスクブレーキのピストンを揉み出す効果
![揉み出しすると](https://pcxgo.com/wp-content/uploads/2020/05/Disc-brake-3_R.jpg)
ピストンにいろいろ塗って揉み出すと、ピストンのスベリが良くなります。
スベリが良くなると
- ピストンの出かたは、スムースになる
⇒複数のピストンが均等に出てくる
⇒左右のピストンが均等に出てくる
嬉しい気がする - ピストンの滑りが良くなる
⇒ブレーキが引きずる
もちろん、バイクに負荷が掛かるほど引きずる訳ではないけれどね。
なぜ、揉み出すとブレーキが引きずるのかが、疑問?
ブレーキメンテ同様、チェーンメンテもね!
なぜ、揉み出すとブレーキを引きずるのか?【戻らない】
![ディスクブレーキの仕組みと揉み出しの関係](https://pcxgo.com/wp-content/uploads/2021/01/disk-brake-3_R-1.jpg)
ブレーキレバーを放したときに
ピストンとオイルシールに摩擦が無いと
ピストンが置いてけぼりになるのです
レバー操作で押し出たピストンが、引っ込むスベが無い
ここまで来れば、揉み出しがおすすめで無い理由は簡単ですね。
たわんだオイルシールが元に戻るときに、ピストンを引き戻そうとするけど
滑りが良すぎてピストンを引き戻せなくなるから、ピストンが出たままになる。
とすると、揉み出して滑りをよくするのは、悪なのでしょうか?
YES。
メタルラバーで揉み出すのは、メタルラバーの使い道を間違えてます。
メタルラバーの正しい使い方
メタルラバーは、ブレーキを組み立てるときに
オイルシールを傷つけないために使う
ブレーキキャリパーを組み立てるときに、オイルシールをピストンに通します。
この時、『オイルシールを傷つけてオイル漏れを起こさないために』
ピストンにメタルラバーを付けて滑りを良くして組み立てます。
組み立て終われば、メタルラバーの役目は終わり。
組み立て終わってブレーキフルードを入れると
オイルシールが膨張します
オイルシールが膨張して
ピストンに『ガッチリ食いつく』ことでピストンが引っ込める
オイルシールが膨張して、ピストンに『ガッチリ食いつく』ことでピストンが引っ込める。
摩擦があった方が良いのです。
組み立て終わったら、メタルラバーは不要です。
メタルラバーを塗って摩擦を無くすと、ブレーキレバーが軽くなります
なんか、メンテした気分・タッチが良くなった気分がします
けれど、ピストンの戻る量が減ってるのに気づいてますか?
![チョッと休憩](https://pcxgo.com/wp-content/uploads/2022/09/bike_lover_man-1_R.jpg)
チョッと休憩
『ブレーキキャリバー』と『ブレーキキャリパー』
バとパ のどっちを使いますか?
caliper:ディスクブレーキを両側からはさみつけてブレーキをかけるもの
caliber:口径。直径,内径
ブレーキキャリパーが正解です。
間違えているサイトは結構あります。
- 約 3,950,000 件 ブレーキキャリバーgoogle検索結果
- 約 16,200,000 件 ブレーキキャリパーgoogle検索結果
20%は間違えてる・・・。
英語の授業は大切ですね。
引きずりを直すより、バイクを変える手もある
複数ピストンの、出かたが違っても良いのか?
![複数ピストンの、出かたが違っても良いのか?](https://pcxgo.com/wp-content/uploads/2023/01/Brake-caliper-3_R.jpg)
![](https://pcxgo.com/wp-content/themes/cocoon-master/images/man.png)
揉み出すと、良くないのは解った
なら、ピストンが均等に出てこないのは
どうやって直せばいいの?
- 左右のピストンが同時に出てこない
- 複数ピストンが同時に出てこない
これの何が悪いの?
ピストンの出かたが違うのが気持ち悪い?
ピストンが均等に出ないと、何がまずいのか?
![ピストンが均等に出ないと、何がまずいのか?](https://pcxgo.com/wp-content/uploads/2022/11/no_woman_R.jpg)
均等に出なくても実害は無い
あなたが超繊細にブレーキを使うのなら別だけど
2ポットキャリパーは、1つのキャリパーに2つピストンがあります。
4ポットなら4つ。6ポットなら6つ。
![](https://pcxgo.com/wp-content/themes/cocoon-master/images/ojisan.png)
揉み出して
全部のピストンが同時に出てくると
なんか嬉しい!
もちろん、極端に出る量が違うのは問題だけど、
遅れてピストンが出てくる程度なら、大勢に影響はない。
ブレーキパッドが均一に減ってるのであれば、制動に問題は無い。
フィーリングは悪くなる
![フィーリングは悪くなる](https://pcxgo.com/wp-content/uploads/2022/11/ok_woman_R.jpg)
初期のピストン出かたでフィーリングが変わる可能性は有る
片押しが対向ピストンよりフィーリングが悪いように、
全部のピストンがディスクに着くまでカチッとはしなくなる。
でも、繊細な差。
それが問題となることはまず無い。
ブレーキングでピストンが動く量は数ミリです。揉み出す量ほど動かない。
それよりも、ブレーキレバーを放したときのピストンの戻る量を気にしよう。
オイルシールの摩擦という、管理しにくい性能でピストンの出入りが決まります。
4つのピストンが同時に出入りする方がオカシイ
ピストンだって、オイルシールだって工業製品なので公差はあります
全く同じじゃない
無負荷での出入りを気にする必要は、ありません
フィーリングが気になるなら、ディスクブレーキのメンテナンス
ピストン動作に差があり、そのフィーリング(タッチ)が気になるなら、
揉み出すよりオーバーホール
ブレーキキャリバーのオーバーホールしてやれば、ピストンの動作は元に戻る。
オーバーホールが王道です。
オーバーホールにはこれらの特殊工具が必要になります。
これらのツールの使い方が解らないなら、ブレーキメンテはショップに任せた方がいい。
ブレーキが効かないと、笑えない。
見栄を張る場面では無い
簡易なオーバーホール
![簡易なオーバーホール](https://pcxgo.com/wp-content/uploads/2020/01/120301-163709_R.jpg)
いきなフルオーバーホールが敷居が高いなら、簡易なオーバーホールを試してもいい。
- キャリパーを外す
- ブレーキパッドを外す
- ブレーキレバーを握ってピストンを出す
- 水洗いでブレーキダストなどを取り除く
- ピストンにこびり付いた異物・サビをピカールで磨く
- ブレーキレバーを握ってピストンの出入りを見る
こんな時はバラシてオーバーホールしよう、メタルラバーで誤魔化さない
- ピストンの異物・サビが取れない
- ピストンが固着して動かない
- ピストンが戻らない
- パッドが片減りしている
- シールにヒビがある
- オイルシール交換
- ピストン研磨
メンテしてれば、10万Kmは軽い
まだブレーキキャリバーのピストンを揉み出ししてるの? まとめ
![ブレーキキャリパーのピストンを揉み出し まとめ](https://pcxgo.com/wp-content/uploads/2021/01/disk-brake-2_R.jpg)
揉み出しすより、オイルシール交換の方がおすすめ
まとめると、1行で終わってしまいます。
キャリパーのオーバーホールは敷居が高そうですが、やってみると大したことありません。
ただし、固着しているピストンを外すのは難しい。
ピストンを再利用しないなら力ずくで構わない。
再利用するなら、そこだけショップでエアツールを借りるのかおすすめです。
走行中にブレーキが利かなくなると笑えません
ブレーキメンテに自信が無ければ、プロに任せた方が良い
対価を払うのだから、引け目を感じる必要は無い
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