PCX125はコンビブレーキのみです。
しかし、PCX150はコンビブレーキとABSブレーキが選択できます。

ABSとコンビブレーキ
何が違うの?
そんな疑問を解決します。
ABS付きPCX150を選択し2年乗って、わかった事をお教えします。
ABSとコンビブレーキの比較
ABSはコンビブレーキの上位互換ではありません
ABSとコンビブレーキは、全く別物です
- ABSは安全装置
- コンビブレーキは便利装置
ABSとコンビブレーキの違い
ABS(Anti-lock Braking System)とは
ABS(アンチロックブレーキ)は、ブレーキを掛けた時に車輪のロックを防ぐ装置です。
車輪のロックを検知すると制動力を弱めロック解除する、いわゆるポンピングブレーキを1秒間に何十回と勝手に行ってくれます。
ABS(Anti-lock Braking System)のメリット
ABSは名前のとおりホイールがロックしないブレーキです。
車ではブレーキ中の操舵が可能になるのがメリットです。
障害物をかわせます。
バイクでは車輪がロックして転倒するのを防げます。
パニックブレーキの握りゴケが無くなる。
ABSで制動距離も短くなります。(オフロードなど特殊な路面は除く)

上記は一般的な外力-摩擦力図です
ブレーキを強く握っていくと摩擦力=制動力が高まって行きますが、グリップ限界を超えるとタイヤがロックしてスリップが始まります。
一般的に静摩擦より動摩擦の方が小さいので、スリップが始まると制動力は落ちます。
部屋の模様替えの時、重い家具でも一旦動き出せば軽く動きます。
この現象で、動摩擦の方が小さいのは体感していると思います。
スベってるときは摩擦力が落ちるので制動距離が長くなります。
ABSによりスリップを制御すると制動距離は短くなります。
ABSは、スリップを検知するとブレーキを弱めて静摩擦の領域に戻してくれます。
図の赤枠の中を行ったり来たりします。
動摩擦↔静摩擦の切替時は摩擦力が急変するため『ガクガク』すると感じます。
このガクガクが、バイクにABSがなかなか普及しなかった一因です。
車ではハンドルやブレーキペダルがガクガクするだけですが、バイクではガクガクが体に伝わってバランスを崩して転倒に繋がるためです。
電子制御化により、制御がきめ細かくなりバイクでもABSが可能になりました。
実際にはABSの制御はもっと複雑です。
前輪の回転数だけでなく、前後輪の回転数差やエンジン回転状態、車速などをパラメータに複雑な計算を1秒間に何十回と行い制動力をコントロールしています。
最新のSS用のABSはコーナリング中にABSを利かす事も可能なようです。
もし、図の赤枠をもっと狭くブレーキ操作できるならば、あなたにはABSは不要です。
ABS効果のデモ動画
とても有名な、ABSの効果動画です。
濡れた路面で急制動したときに、ABS有無でどう挙動が変わるか実験してます。ABSが欲しくなる動画です。
コンビブレーキとは
左ブレーキ(後輪ブレーキ)を掛けると、前輪にも軽くブレーキを掛けてくれる装置です。
右ブレーキ(前輪ブレーキ)を掛けると、前輪にのみブレーキが掛かります。(PCXの場合)

コンビブレーキのメリット
簡単な操作で安定して止まれることです
自転車では、後ろブレーキで停止している人が大半です。急制動が必要になった時に初めて前ブレーキを握り込みます。
これは、自転車のタイヤは細くてグリップが悪いため、簡単にスリップするからです。前輪にラフなブレーキを掛けると簡単に転倒します。その経験で無意識に後輪で制動しているのです。
バイク経験の浅い人が乗る事が多い原付は、この自転車イメージをコンビブレーキで再現しています。後輪ブレーキのみで前輪にも軽くブレーキを掛ける事で安定して制動してくれるのです。

ABSは、任意保険やヘルメットに似ています。
お世話になる事は滅多に有りませんが、いざという時に無いと取り返しがつきません
コンビブレーキは、キーレスやUSBソケットに似ています。
とても便利で日々お世話になりますが、無くても何とかなります。
評判の悪いコンビブレーキ
しかし、バイクに乗り慣れた人のブレーキ操作は自転車と異なります。
- 前輪 70~80%
- 後輪 20~30%
この割合でブレーキ掛けている人が多いはずです。
ブレーキを掛けると前輪荷重になります。荷重が掛かっているので前輪ブレーキを強く掛けてもスリップし難い事を知っているのです。
もちろん、ABSの出番になるような急制動は除きます。
また、アクセル開度一定で、後輪ブレーキを軽くあてて速度を調整すると低速でも安定する事も知っています。

前輪・後輪それぞれに、好きなだけブレーキを掛けさせて!
バイク好きには、縛られるのが苦手な人が多いのです。

PCXのコンビブレーキは、コンビブレーキの前輪への効き具合を調節可能です。
極端にセッティングすれば、コンビブレーキを解除できます。
もちろん右ブレーキを掛ければ前輪ブレーキが掛かります。
方法はネットで容易に見つかります。

カウルを交換したために、コンビブレーキ表示になったABSのPCXです。
カウル交換の経緯は、ここ
PCXカウル外し方 完成編
ABSの義務化
バイクはABSまたはコンビブレーキが法で義務化されてます。
- 126cc以上のバイクはABS義務化
- 51cc~125cc以下のバイクはABSかコンビブレーキどちらかが義務化
- 50cc以下は除外
適用時期
- 2018年10月以降の新型車
- 2021年10月以降の継続生産車
PCXは既に前倒しで適応済みです。
また、2021年10月からは、コンビブレーキ仕様のPCX150は買えなくなるはずです。
PCX150コンビブレーキ仕様が欲しい人は今の内ですが、その前にPCX自体がモデルチェンジする可能性も有ります。
なぜ、125cc以下はABSが必須でないのか
ABSはタイヤロックさせない事で転倒を防止します。
コンビブレーキは、片手で両輪にブレーキが掛けられるだけです。
国土交通省によると、ABS義務化の目的は以下です。
自動車局では、交通事故死者数の削減のため、安全基準等の拡充・強化、先進安全自動車(ASV)の開発・実用化・普及の促進等により、車両の安全対策を推進しています。
国土交通省 ABS義務化を引用
コンビブレーキも安全に繋がるけれど、歯がゆい感じがします。
125ccもABS義務化するとマズイ大人の事情があるのでしょう。

スクーターはニーグリップが効かないのでABSは危険だ!
そんな急制動したら、人がハンドル超えて吹っ飛ぶ。

125cc以下は軽いのでABSは不要だ!
軽いので前輪がスリップするほど荷重出来ない。
話になりません。
現行PCX150はABSとコンビブレーキが選択可能
- PCX150 コンビブレーキ 380,600円 (税込み)
- PCX150 ABS 402,600円(税込み)
差額は22,000円、6%です。この差額ならPCX125でもABS付きが欲しい人は多いはずです。
ABS付きPCXに2年乗って思う事 まとめ
ABSはコンビブレーキの上位互換ではありません
ABSとコンビブレーキは、全く別物です
- ABSは安全装置
握りゴケが無くなる
制動距離が短くなる
お世話になる事は滅多に無いけど、無いと取り返しがつかない - コンビブレーキは便利装置
握りゴケは無くならない
便利で毎日お世話になるが、無くても何とかなる
PCX125もABS・コンビブレーキを選択可能にして欲しい。
ABSはコンビブレーキの上位互換ではありません。
ABSとコンビブレーキは全く別物です。
PCXは、日常の足からツーリングのお供まで何でも出来る優等生です。
けれど、100点満点という訳では有りません。
PCX125もABSを選択可能にして、もっとPCXを好きになる人を増やして欲しい。